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ストックホルム風 鮭のタルタル

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ストックホルムにエステルマルムという市場がありまして、そこは食の殿堂というのにふさわしい品揃えをしています。四方を海に囲まれた国らしく、もちろん魚屋の数は多いのですが、北の海で穫れた魚はどれも新鮮この上なく、身が引き締まっていて、日本付近には生息しないだろう魚でもきっといい寿司ネタになるはずと確信するような美味しさでした。

その中のある一軒の魚屋でいつも店番の女性が作っていたのが、この生鮭のタルタルでした。鮭を小さな賽の目に切り、イクラと合えるだけ。レシピというのもはばかれる単純この上ない一品ですが、丁寧に5ミリほどの大きさにきっちり四角く鮭を刻むというのは、なかなか出来ることではありません。精神を集中させて、やっとこさ出来た鮭の賽の目とふっくら丸いイクラ粒が艶やかにきらきら輝きながら入り混じる様子はとても綺麗で、味もうっとりそのもの。スウェーデン料理でも欠かせないディルが細かく刻んであったのも、食欲をそそりました。量り売り、あるいはその場で食べることが出来るのですが、手間がかかるせいか、いいお値段だったと記憶しています。

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先日、復活祭の頃に買い置きしておいたイクラの瓶詰めを使い、このタルタルを作りました。日本やスウェーデンで手に入る新鮮で上質の生鮭ならば、そのまま刻むのもいいですが、ポーランドで入手できるものは少々質が落ちるように思うので、ワタクシの定番であるサーモンマリネから作ることに。これは、脂ぎった養殖ものでも、鮭本来の旨味が凝縮してとても美味しくなる技です。作り方は簡単で、心持ち塩を効かせるように、まんべんなく鮭の切り身全体に塩をまぶしてから、ディルの粗みじん切りとコリアンダーシードをたっぷりまぶすだけ。水が出て来るので、笊かキッチンペーパーをしいて、そのまま冷蔵庫にて1〜2日ほどそっとしておくと、鮭は余分な水分を出しきり、代わりにハーブの芳香をたっぷり吸って、まことに美味なるものに変化します。

この締めサバならぬ締め鮭は2日目頃が食べごろで、その後2日くらいは日持ちします。生ものですから、最後はどうしても生臭さが出て来るので、パスタなどの具にしてさっと熱を通すのが良いようです。

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ポーランドではレッドキャビアと呼ばれるイクラ、ガラス瓶越しに粒がつぶれていないか、毎回購入前に厳しくチェックしているつもりなのですが、今回は少々残念な品でした。とはいえ、時間をかけてマリネし、息を詰めながら出来るだけ小さなダイスに切った鮭のおかげでしょうか、なんとか美味しいタルタルが出来ました。炊きたてのご飯の粗熱がとれたところで、海苔とともに手巻き寿司風にいただく幸せ・・・

我ながらうっとり。向かう席の夫君も満足そうな様子。大昔、学生時代のフランス語の授業中、当時封切りの女性彫刻家カミーユ・クローデルを主人公にした映画が教材として使われたことがあったのですが、カミーユの愛人であったロダンが悪妻を評して『あれは料理上手だから・・・(別れられない)』と言った場面が妙に心に残っています。我が家はいかに?
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# by ydonnadieu | 2014-05-21 01:34 | キッチンにて